【論 文】
自治体における飲料容器収集および選別のマテリアルフロー分析
松 藤 敏 彦*・田 中 信 壽*・小 石 哲 央*・柴 田 哲 也*
【要 旨】 ガラスびん,スチール缶・アルミ缶,PETボトルを対象に,自治体における収集方法別実施状況と収集量,選別施設における物質収支を明らかにするため,全国の自治体を対象としたアンケート調査,ヒアリングを行った。
収集方法別に収集量を比較すると,大部分の飲料容器は自治体収集によって集められており,品目別収集よりも混合収集を行っている自治体が多い。しかし混合収集は品目別収集より選別施設における回収率が低く,特にパッカー車による場合に低下している。この原因は収集時のガラスびんの破損であり,回収されずに残渣として埋め立てられている。回収率とエネルギー消費量の点で,分別収集方法としては,ガラスの破損を避けるためにガラスびんを平ボディ車,缶,PETボトルを積載効率の高いパッカー車とするのがよい。また拠点回収は,1,000〜2,000人に1箇所程度の設置密度があれば,これのみで高い収集率が得られる。自治体収集のみに頼るのではなく,物質回収および環境影響低減の視点から収集方法の見直しが必要である。
キーワード:飲料容器,収集,選別施設,回収率,物質収支
廃棄物学会論文誌,Vol.16, No.6, pp.441-452, 2005
原稿受付 2005.3.11 原稿受理 2005.6.29
* 北海道大学大学院工学研究科 環境循環システム専攻 廃棄物資源工学講座
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北海道大学大学院工学研究科 環境循環システム専攻 廃棄物資源工学講座 廃棄物処分工学研究室 松藤 敏彦