【論 文】
鉄鋼産業におけるプラスチック製容器包装リサイクルのLCA
――システム境界の影響――
稲 葉 陸 太*・橋 本 征 二**・森 口 祐 一**
【要 旨】 その他プラスチック製容器包装のごみ焼却発電によるサーマル・リサイクル,および鉄鋼産業におけるケミカル・リサイクルを含む事例のLife Cycle Assessment(LCA)を対象として,既存産業が関与するリサイクルのLCAにおける適切なシステム境界を検討した。まず,事例間での物質・エネルギー収支の変化を検討し,変化が予想されるプロセスをすべて包含するよう,既存のLCA研究よりも拡張したシステム境界を設定した。次に,製鉄所内のプロセスを省略あるいは包含したシステム境界に基づくインベントリ分析を実施したところ,両者で事例間の相対的評価が明確に異なり,前記プロセスの考慮の有無が評価を大きく左右することが示された。この結果から,既存産業プロセスが関与するリサイクルにおいて,産業内の物質・エネルギー収支が変化するプロセスの明確化と,これを包含したシステム境界の設定が必要であることが示された。
キーワード:システム境界,その他プラスチック製容器包装,リサイクル,Life Cycle Assessment,鉄鋼産業
廃棄物学会論文誌,Vol.16, No.6, pp.467-480, 2005
原稿受付 2004.8.17 原稿受理 2005.7.12
*(国)北海道大学大学院工学研究科 環境資源工学専攻
**(独)国立環境研究所 循環型社会形成推進・廃棄物研究センター
連絡先:〒060-8628 札幌市北区北13条西8丁目
(国)北海道大学大学院工学研究科 環境資源工学専攻 稲葉 陸太