【論 文】
粒径別に分画した飛灰におけるポリ塩化ビフェニルおよびクロロベンゼン類のde novo合成挙動の温度依存性
高 岡 昌 輝*・谷 垣 信 宏*†・武 田 信 生*・藤 原 健 史*
【要 旨】 飛灰上でのPCBsおよびCBzsのde novo合成機構を明らかにするため,粒径分画した組成が大きく異なる飛灰を用いて,PCBsおよびCBzs生成量の加熱温度および加熱時間への依存性を調べた。PCBsは350℃および375℃付近で粒径の差がなく,最大生成量を示した。CBzsについては,350℃および475℃において生成のピークを持ち,>500μmの飛灰の方が44〜500μmの飛灰に比べて,全温度域で生成量が大きかった。PCBs,CBzsともに低温域での高塩素化物の生成,高温域での低塩素化物の生成が認められ,加熱温度および各同族体により最大生成量のピークがシフトすることがわかった。300℃加熱時の生成量の経時変化より,PCBsは粒径によらずほぼ同じ挙動を示し,CBzsについては44〜500μmの飛灰では360分においてほぼ最大生成量に達したと考えられたが,>500μmの飛灰ではまだ生成が続いていることがわかった。
キーワード:ごみ焼却飛灰,飛灰粒径,PCBs,未燃炭素,温度依存性
廃棄物学会論文誌,Vol.17, No.1, pp.11-22, 2006
原稿受付 2004.12.8 原稿受理 2005.9.12
* 京都大学大学院工学研究科 都市環境工学専攻
*† 京都大学大学院工学研究科 都市環境工学専攻
現在 新日本製鐵(株)プラント・環境事業部環境プロジェクト部
連絡先:〒606-8501 京都市左京区吉田本町
京都大学大学院工学研究科 都市環境工学専攻 高岡 昌輝