【論 文】
浄水汚泥の電気泳動濃縮に関する基礎研究
藻 垣 俊 明*・吉 岡 敏 明**・溝 口 忠 昭***
【要 旨】 浄水汚泥の電気泳動濃縮法について基礎検討した。浄水汚泥に電圧を印加すると,汚泥粒子が陰極側に電気泳動して電極上に付着・濃縮した後,濃縮物が剥離・沈降して反応器底部に濃縮層が,上部に清澄層が形成された。電極を不織布で被覆し,また装置内に蓄積した濃縮汚泥を適宜抜き出すことにより汚泥を連続的に電気泳動濃縮することができた。滞留時間16min,電位勾配25V/cmの条件で連続処理を行った場合,固体濃度は1wt%から6.2wt%に上昇した(脱水率84%)。電気泳動濃縮法は,緻密な汚泥濃縮層を通過することなしに水の除去が可能であり,したがって,従来の真空ろ過法などと異なり,脱水ケーキの強制剥離やろ布の洗浄などの工程が不要である。また,高分子電解質等の薬品を添加する必要もない。電力消費量および装置サイズに関する概略試算結果より,本電気泳動濃縮法は浄水場に対して有望な技術であると考えられる。
キーワード:浄水汚泥,電気泳動,濃縮,脱水
廃棄物学会論文誌,Vol.17, No.1, pp.42-49, 2006
原稿受付 2005.4.27 原稿受理 2005.10.3
* 東北大学大学院工学研究科 応用化学専攻
** 東北大学大学院環境科学研究科
*** 東北大学環境保全センター
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東北大学環境保全センター 溝口 忠昭