【論　　文】
マイクロ波を用いた塩化ビニルの脱塩化水素における温度とマイクロ波吸収挙動の研究
立　本　英　機*・森　脇　三　郎**・町　田　　　基*・小　倉　利　夫***・久　我　真　澄***

【要　旨】　マイクロ波照射による塩化ビニル（塩ビ）を含む混合プラスチック廃棄物の脱塩素を図るため，照射したマイクロ波エネルギーの吸収挙動と温度変化を測定した結果，�@マイクロ波の吸収に伴い塩ビの温度は上昇するが，ある条件に達すると，塩ビはマイクロ波を急激に吸収し始め，著しい温度上昇（TR）が起きる。�A急激な温度上昇が開始する温度（TRT）は，照射条件によって変わり，照射パワーを高めると上昇し，また，マイクロ波照射前に塩ビを加熱すると加熱温度の上昇に伴いTRTは上昇する。�B脱塩化水素反応は，温度が急激に上昇を開始する点すなわち，マイクロ波吸収が急激に増加する点近傍から開始する。�C最高温度に到達した後のマイクロ波吸収は，急激に低下するが安定しない。�D非共振系アプリケータにおけるマイクロ波吸収効率は低く，また，吸収されたマイクロ波エネルギーの内，23％程度が塩ビポリマーの脱塩化水素に寄与している。

キーワード:塩ビの脱塩素，マイクロ波照射，マイクロ波吸収，予熱，マイクロ波エネルギーバランス
廃棄物学会論文誌，Vol.17, No.1, pp.61-68, 2006
原稿受付 2005.4.6　　原稿受理 2005.10.11
* 千葉大学工学部共生応用化学科
** 千葉大学自然科学研究科 物質高次科学専攻
*** （株）日立ディスプレイデバイシス
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千葉大学廃棄物管理施設内　　森脇　三郎