【特 集:3Rイニシャティブとアジアの資源循環】

3Rと国際資源循環――経済学的視点からの検討――
細 田 衛 士*

【要 旨】 国内における3Rと国際的な資源循環の促進を両立させるのは容易ではない。追尾できない海外への再生資源や使用済み製品の流出は,国内での適正リサイクル投資を無駄にする一方,潜在的汚染を拡散させる恐れがある。汚染の拡散を未然に防ぎ3Rを効率的に進めるためには,生産物連鎖上でのもののフローの制御が必要になる。これを実現するには,(1)ものの流れの追尾可能性(traceability),(2)説明責任(accountability)および(3)透明性の確保(transparency)の3つが重要な要件となる。この3つの要件が満たされれば,国境を越えた広域資源循環を行っても汚染の拡散を未然に防止することができ,同時に効率的な再生資源利用が可能になる。また市場の乱高下によって引き起こされる資源の国外流出や供給不安定性といったリスクを回避するためには,国内資源ストックの情報を把握し,有効利用するための資源戦略を事前に立てることが求められる。

キーワード:確認不能吸収源,生産物連鎖,プロダクト・チェーン・コントロール,広域資源循環,資源のストック管理
廃棄物学会誌,Vol.17, No.2, pp.49-59, 2006
原稿受付2006.1.31
* 慶應義塾大学 経済学部
連絡先:〒108-8345 東京都港区三田2-15-45