【特 集:3Rイニシャティブとアジアの資源循環】

国際資源循環の現状と問題点――中国を中心として――
島 田 和 明*

【要 旨】 中国では著しい経済発展に伴い,天然資源のみならず再生資源への依存を強め,今や世界最大の資源消費国になろうとしている。一方,先進国でも使用済み機器等のリサイクルにおいて中国の低コストかつ徹底的な解体・分別機能への依存を高めている。このため,中国を中心として,世界の物質循環に大きな変化が生じてきている。また中国では法制度の整備が進んでいるものの環境関連インフラが不十分等のため,深刻な環境問題を惹起している。真のリサイクル大国に転換するため,環境意識の向上,合理的な市場慣行,リサイクル事業の近代化,とりわけ複合型精錬所の整備等が必要不可欠になっている。また,再生資源貿易を中国への一方的な流れとするのではなく,難処理物,複合素材等については,先進国が対応する等双務的,補完的な関係を構築することが重要である。

キーワード:再生資源,徹底的な解体・選別機能,リサイクル産業の近代化,複合型製錬所
廃棄物学会誌,Vol.17, No.2, pp.78-85, 2006
原稿受付 2006.1.24
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