【論  文】
ディスポーザブルライターを指標とした海岸漂着ごみのモニタリング
藤 枝   繁*・小 島 あずさ**・兼 広 春 之***

【要 旨】 全国のべ120海岸から収集された6,609本のディスポーザブルライターを指標として,国内海岸に漂着する海洋ごみの流出地を推定した。流出地・流出国の判別は,ライターのタンク表面の印刷文字,タンク底面の刻印記号,タンク形状によった。中国ライターの割合は,沖縄県与那国島から鹿児島県屋久島までの東シナ海沿岸で最も高く5割を越え,日本海沿岸では山形県まで1〜2割を占めた。韓国ライターの割合は,沖縄県から九州西岸までの東シナ海沿岸では約1割で太平洋沿岸ではほとんど収集されなかったが,日本海の島根県から福井県では5割を越えた。日本ライターは,全国で収集され,特に四国以北の本州太平洋沿岸,北海道,東京湾,瀬戸内海で9割以上を占めた。漂着ライターの流出地は,漂着地周辺の内陸部や沿岸部,中国浙江省・広東省の沿岸部,台湾・韓国の全域であり,ライターを指標とすることにより,海洋ごみの漂着地と流出地の関係が明らかにされた。

キーワード:漂着物,流出起源,ライター,海洋ごみ,モニタリング
廃棄物学会論文誌,Vol.17, No.2, pp.117-124, 2006
原稿受付 2005.3.14  原稿受理 2005.11.4
* 鹿児島大学水産学部
** JEAN・クリーンアップ全国事務局
*** 東京海洋大学海洋科学部海洋環境学科
連絡先:〒890-0056 鹿児島市下荒田4-50-20
鹿児島大学水産学部環境情報科学講座  藤枝 繁