【論  文】
発泡ポリスチレン製容器にピリジニウム基を導入した樹脂の微生物付着用担体としての評価
森 村   茂*・劉     凱*・重 松   亨*・緒 方 智 成**・野 中 敬 正**・木 田 建 次**

【要 旨】 トレイやカップなどの発泡ポリスチレン系容器を有機溶媒中でクロロメチル化し,さらにピリジン誘導体と反応させることにより,ピリジニウム基を持つ粉末状樹脂を製造した。この粉末状樹脂を用いて,真正細菌(グラム陰性菌,グラム陽性菌),真核生物(酵母)および古細菌(酢酸資化性メタン生成細菌)の吸着試験を行った。対象としたすべての微生物を60分以内に吸着し,付着した真正細菌の酸素消費速度あるいは酵母および酢酸資化性メタン生成細菌のガス発生速度を測定したところ,粉末樹脂を加えなかった場合と比較して活性低下は見られなかった。ピリジニウム基を導入した粉末樹脂は,微生物を生きたまま付着する非常に優れた担体であると評価された。

キーワード:ポリスチレン系食品容器,ピリジニウム基,微生物,付着用担体
廃棄物学会論文誌,Vol.17, No.2, pp.135-141, 2006
原稿受付 2005.3.18  原稿受理 2005.11.22
* 熊本大学大学院自然科学研究科
** 熊本大学工学部物質生命化学科
連絡先:〒860-8555 熊本県熊本市黒髪2丁目39番1号
熊本大学工学部物質生命化学科  木田 建次