【論 文】
室内促進暴露実験と10年間実暴露実験による遮水シートの耐久性評価と遮光性保護による延命効果の確認
原 田 高 志*・今 泉 繁 良**・西 崎 到***
【要 旨】 本研究は,遮水シートの耐久性評価を目的とし,室内促進暴露実験と実暴露実験を実施し,遮水シートの力学特性(硬さ,引張強さ,伸び率)や表面状態の変化を追跡評価したものである。室内促進暴露実験の結果,伸び率は経過時間とともに徐々に低下し5,000時間では初期値のおおむね80%程度となり,そのとき遮水シート表面には亀甲状の微小亀裂が発生していることが確認された。一方10年間の実暴露実験を行った遮水シートの力学特性の変化は小さく,ある種類の遮水シート表面には室内促進暴露実験と同様の亀甲状の微小亀裂が観察されたが,最終処分場の標準的な供用期間である15年に対して遮水シートの耐久性は充分余力あるものと推測された。また両実験結果を比較検討した結果,2,000時間強の室内促進暴露実験の結果が実暴露実験10年間に相当することが確認された。さらに遮光性保護材を用いると,遮水シートの劣化の主要因とされる紫外線を遮断することができ,遮水シートの耐久性が大幅に向上することも確認できた。
キーワード:最終処分場,遮水シート,紫外線劣化,暴露試験,遮光性保護
廃棄物学会論文誌,Vol.17, No.2, pp.142-152, 2006
原稿受付 2005.5.13 原稿受理 2005.11.22
* (株)ブリヂストン 土木・海洋資材開発部
** 宇都宮大学大学院工学研究科 エネルギー環境科学専攻
*** (独)土木研究所 材料・地盤研究グループ
連絡先:〒244-8510 横浜市戸塚区柏尾町1
(株)ブリヂストン 土木・海洋資材開発部 原田 高志