【論 文】
灰溶融過程でのガラスびんカレットの有効利用
小 山 秀 美*・小 林 政 行*・白 子 定 治*・野々村 誠*・堀 尾 正 靱**
【要 旨】 東京23区内で発生するごみ焼却灰は,減容化・安定化・資源化する目的で,全量スラグにする計画が推進されている。こうした中,ごみ焼却灰のスラグ化を開始した都内清掃工場では,溶融過程における耐火物の浸食抑制とスラグ品質向上の目的から,塩基度(CaO/SiO2)調整剤として砂を焼却灰に対し約10%添加している。本研究では,砂の代わりにガラスびんカレットを塩基度調整剤として利用することを検討した。その結果,ガラスびんカレットの添加は,スラグの粘度を下げる効果があるが,その他の特性には,大きな差は生じなかった。溶融炉の運転温度を50℃程度下げて運転できる可能性があることから,省エネルギー効果が期待でき,溶融炉耐火物の浸食抑制の点からも大きなメリットが期待できる。
キーワード:ガラスびんカレット,砂,スラグ,塩基度調整剤,耐火物浸食
廃棄物学会論文誌,Vol.17, No.2, pp.162-171, 2006
原稿受付 2005.4.20 原稿受理 2005.12.26
* 東京都立産業技術研究所
** 東京農工大学大学院生物システム応用科学研究科
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東京都立産業技術研究所 資源環境科学グループ 小山 秀美