【論  文】
連続炭化パイロットプラントを用いた浄化槽汚泥の炭化
加 藤 裕 之*・渡 辺 孝 雄*・大 森 英 昭*・河 村 清 史**・牧 野 好 晃***

【要 旨】 浄化槽汚泥の減量化・資源化を目的として,脱水汚泥に対する計画処理能力が60kg/hのパイロットプラントを用いて炭化を検討した。脱水汚泥の直接の炭化および乾燥経由の炭化のいずれにおいても,脱水汚泥の含水率が約80%のとき重量減量率は約90%であった。また,いずれの場合も,汚泥加熱のための一次バーナーの設定温度が高くなると,溶出試験で溶出されるTOCの濃度(以下,溶出TOC濃度)は低くなる傾向にあり,炭化が進行した。なお,乾燥経由の炭化では,乾燥汚泥の50kg/h程度以上の投入によって必要な乾留ガス発生量が確保され,直接の炭化では得ることが難しい溶出TOC濃度10mg/L程度以下の炭化汚泥が生成された。炭化汚泥の溶出試験では,重金属は「金属等を含む産業廃棄物に係る判定基準を定める総理府令」の別表第一の基準値以下であった。また,含有重金属は,一試料でCdとPbが普通肥料の公定規格を超過したが,他はすべて満足した。さらに,肥料成分であるN, P, K, Ca, Mgについては,N以外は脱水汚泥と比較して高い濃度となった。

キーワード:浄化槽汚泥,炭化,減量率,溶出TOC,肥料成分
廃棄物学会論文誌,Vol.17, No.2, pp.172-183, 2006
原稿受付 2005.3.15  原稿受理 2005.12.27
* (財)日本環境整備教育センター
** 埼玉県環境科学国際センター
*** (株)日本環境管理センター
連絡先:〒130-0024 東京都墨田区菊川2丁目23番3号
(財)日本環境整備教育センター 調査研究部  加藤 裕之