【調査報告】

自動車エアバッグ類のリサイクルシステムの現状と課題
岡 村 里 恵*・外 川 健 一**

【要 旨】 本報告では,自動車リサイクル法によりメーカー責任の下で処理・リサイクルされることになった「エアバッグ類」についてとりあげ,@エアバッグ類が指定回収物品に指定された理由,A自動車リサイクル法下でのエアバッグ類の処理・リサイクルの特徴,Bメーカー責任下でのエアバッグ類の処理・リサイクルは,既存リサイクルセクターにどのような影響をもたらしているのかについて考察を行った。エアバッグ類のリサイクル・処理方法のうち,車上作動処理が主流になることで,これまでほとんど行われてこなかった,自動車メーカー等と解体業者との間のリスクコミュニケーションが進む可能性がある。その一方で,自動車リサイクル法の下でメーカー等による解体業者の選別や統制が行われる可能性も生まれたと考えられる。

キーワード:自動車,リサイクル,エアバッグ類,拡大生産者責任
廃棄物学会誌,Vol.17, No.3, pp.142-150, 2006
原稿受付 2005.10.3  原稿受理 2006.3.22
* 九州大学大学院 比較社会文化学府
** 熊本大学 法学部
連絡先:〒860-8555 熊本市黒髪2丁目40番1号
熊本大学 法学部  外川 健一