【論  文】
住宅用ディスポーザ導入による経済性評価
北 口 かおり*・清 水 康 利**・豊 貞 佳奈子*・坂 上 恭 助***

【要 旨】 大都市圏の集合住宅を中心として,専用の排水処理装置と組み合わせたディスポーザシステムが急速に普及しており,地方都市では,ディスポーザ排水を直接下水道等の既存社会基盤施設で処理するディスポーザ単体設置についても導入検討が始まるなど,ディスポーザの社会認知が確立されつつある。本研究では,ディスポーザ普及時の経済効果について,都市規模やディスポーザの導入形態の違いによる差異を考察した。その結果,行政コストの最小性およびユーザーコストの許容性から,大都市部では集合住宅用ディスポーザシステムの導入が優位であり,自治体による普及助成によってさらに許容度が高くなると推察された。一方,小都市部ではディスポーザ単体の導入が優位であるが,下水道事業者に係るコストの増額分の負担制度構築や,適正普及を監視・規制する公的仕組みの構築が必要不可欠である。

キーワード:ディスポーザ,生ごみ処理,経済効果,地域特性
廃棄物学会論文誌,Vol.17, No.3, pp.230-242, 2006
原稿受付 2005.8.29  原稿受理 2006.3.29
* (財)有機質資源再生センター 循環型社会研究所
** 筑波大学大学院 生命環境科学研究科
*** 明治大学理工学部 建築学科
連絡先:〒169-8555 東京都新宿区大久保3-4-1
早稲田大学理工学部55-S-509B (財)有機質資源再生センター 循環型社会研究所  北口 かおり