【論  文】
古紙を利用したアミン型吸着剤の調製と金属イオンの吸着特性
川喜田 英 孝*・井 上 勝 利*・大 渡 啓 介*・板 山 恭 子*・パラジューリ・ドゥルガ*

【要 旨】 新聞紙の古紙に1級アミノ基を化学修飾により固定化することにより,金属イオンの吸着剤に調製した。元素分析の結果より,このゲルは4.1mol/kgもの高い割合の官能基を有することがわかった。所定のpH領域からの銅(U)やクロム(YおよびV)等の卑金属の吸着,および塩酸からの金(V),パラジウム(U)および白金(W)のような貴金属の吸着を調べ,市販の弱塩基性陰イオン交換樹脂のそれと比較した。pH領域からの卑金属の吸着の選択性の順序は銅(U)> クロム(Y)> 鉄(V)≫ 亜鉛(U)> クロム(V)の順であった。一方,塩酸中からは,金(V),白金(W)およびパラジウム(U)は全塩酸濃度範囲において定量的に吸着されたのに対して,鉄(V)や亜鉛(U)は全く吸着されなかった。このゲルの貴金属に対する選択性は陰イオン交換樹脂のそれよりも高いことが明らかとなった。パラジウム(U),白金(W)および銅(U)に対する飽和吸着量はそれぞれ1.6,1.1および0.48mol/kgであった。

キーワード:古紙,アミン型吸着剤,貴金属,アモルファスセルロース,吸着
廃棄物学会論文誌,Vol.17, No.3, pp.243-249, 2006
原稿受付 2005.10.17  原稿受理 2006.4.3
* 佐賀大学理工学部機能物質化学科化学工学研究室
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佐賀大学理工学部機能物質化学科 化学工学研究室  井上 勝利