【特 集:容器包装リサイクル法の見直し】

容器包装リサイクル法の改正の評価と課題
大 塚   直*

【要 旨】 容器包装リサイクル法の改正を全般的に評価すると,次のようになる。
第1に,EPR(拡大生産者責任)については十分な考察はなされていない。
第2に,排出抑制の推進のため,主務官庁が業界ごとの基準を設定し,達成状況を報告させ,公表などを行う仕組みが入れられたことには相応の意義がある。
第3に,リユース,リサイクルの率は示されず,発生抑制の目標についても十分に認識されていない。
第4に,事業者からのわずかの額の拠出と引き換えに,社会的費用の低減については相当の配慮がなされた。事業者が市町村に資金を拠出する仕組みの創設に,リサイクルに伴う社会的費用に低減についてはしっかり配慮された。自治体に分別収集の責任を残したまま費用負担のみを事業者にさせようとしたため,事業者は,自治体への「青天井」の「ばらまき」の拠出を要請されることを恐れ,その結果,EPRの問題の重要性がこのように矮小化されてしまったといえよう。

キーワード:容器包装リサイクル法,拡大生産者責任(EPR),発生抑制・排出抑制,リユース,社会的費用
廃棄物学会誌,Vol.17, No.4, pp.166-173, 2006
原稿受付 2006.6.22
* 早稲田大学大学院法務研究科
連絡先:〒169-8050 東京都新宿区西早稲田1-6-1