【特 集:容器包装リサイクル法の見直し】

容器包装リサイクル法の改正問題と拡大生産者責任
山 川   肇*・植 田 和 弘**

【要 旨】 本稿では,今回の容リ法の改正論議における生産者責任の拡大に関する論点として,発生抑制・再使用の推進効果,社会的費用の低減効果,生産者責任を拡大する場合に支払うべき費用を取り上げて検討するとともに,今回の改正で導入された「事業者の自主的取組」,「市町村に対する金銭の支払」とEPRとの関係について検討した。発生抑制などについては各種の弾力性の測定が必要であること,消費者が受容する範囲の中での削減努力が生産者に求められること,また社会的費用低減の観点からもドイツ型システムを日本の現状と比較検討すべきことなどを論じた。また事業者の自主的取組と国の関与の仕組み,効率化に基づく市町村への支払いの仕組み,のいずれもEPRを発展させることにはなっていないことを示すとともに,制度の詳細設計の際に留意すべき点について指摘した。

キーワード:容器包装リサイクル法,拡大生産者責任(EPR),発生抑制,自主行動計画,市町村に対する金銭の支払
廃棄物学会誌,Vol. 17, No.4, pp.174-181, 2006
原稿受付 2006.6.12
* 京都府立大学人間環境学部
** 京都大学大学院経済学研究科
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京都府立大学人間環境学部 山川 肇