【論  文】
廃棄物最終処分場の浸出水による風化花崗岩からの水銀溶出挙動
土 田 大 輔*・高 橋 浩 司*・鳥 羽 峰 樹*・黒 川 陽 一*・永 瀬   誠*・宇都宮   彬*

【要 旨】 廃棄物処分場の浸出水が,土壌中の水銀を可溶化する可能性について調査するため,風化花崗岩(真砂土)を対象として,バッチ溶出試験(環境庁告示第46号試験,pH依存性溶出試験)およびカラム溶出試験を実施した。溶出溶媒として,純水,浸出水,水酸化ナトリウム溶液,塩化ナトリウム溶液などを用いた。バッチ溶出試験の結果,pH10以上の水酸化ナトリウム溶液により,真砂土に含まれる水銀が溶出した。カラム溶出試験の結果,水酸化ナトリウム溶液および塩基性を示す浸出水により,真砂土から水銀が溶出した。水銀の溶出濃度は,溶出液のpHの増加に伴って高くなった。カラム溶出試験による,真砂土からの水銀溶出量は,水銀含有量の4〜5%に相当した。

キーワード:水銀,風化花崗岩,埋立地,浸出水,溶出試験
廃棄物学会論文誌,Vol.17, No.4, pp.251-258, 2006
原稿受付 2005.8.29  原稿受理 2006.4.24
* 福岡県保健環境研究所
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福岡県保健環境研究所 廃棄物課  土田 大輔