【論 文】
閉鎖後10年以上が経過した最終処分場浸出水中のビスフェノールAおよび4-ノニルフェノール濃度の変動特性とその要因
坂 本 広 美*・福 井 博*・高 橋 通 正*・斎 藤 邦 彦*・金 子 栄 廣**
【要 旨】 閉鎖後10年以上が経過し,埋立廃棄物が異なる4ヶ所の最終処分場を対象として,浸出水に含まれるビスフェノールA(BPA)および4-ノニルフェノール(NP)濃度の年間を通じた継続モニタリングを行い,降雨による浸出水量の変動ならびに一般水質項目との関係について調べた。BPAおよびNPの濃度は,水量の変動がほとんどない定常時にはほぼ一定であるのに対し,約300mmの大雨後には10倍の増加が認められた。また,BPAは内部貯留を行っている処分場において,冬季の渇水期にも濃度が増加した。解析の結果,浸出水中BPA濃度とNP濃度の間には正の相関が認められたが,一般水質項目とBPAおよびNP濃度の間には共通の関連性が認められず,これらの項目とは変動特性が異なることが明らかになった。プラスチックが埋め立てられた古い処分場では,大雨後にBPAあるいはNP濃度を調べることにより,場内の安定度の把握に役立つと考えられた。
キーワード:BOD,CODMn,降雨,浸出水量,内部貯留
廃棄物学会論文誌,Vol.17, No.4, pp.259-270, 2006
原稿受付 2005.11.7 原稿受理 2006.4.24
* 神奈川県環境科学センター
** 山梨大学大学院医学工学総合研究部
連絡先:〒254-0014 神奈川県平塚市四之宮1-3-39
神奈川県環境科学センター 坂本 広美