【論 文】
ごみ焼却施設の建替えと周辺環境のダイオキシン類負荷低減
手 島 肇*・芝 川 重 博*・藤 田 泰 行*・松 本 暁 洋*・武 田 信 生**・高 岡 昌 輝**・酒 井 伸 一***
【要 旨】 約20年前に建設された間欠運転式ごみ焼却施設に隣接して「新ガイドライン」に準拠した連続運転式焼却施設が新設された機会に,新旧各施設の運転に伴うダイオキシン類の排出量や施設周辺の環境中のダイオキシン類濃度を測定し,環境負荷の低減効果を把握した。煙突からの旧施設排ガス中のダイオキシン類排出量57mg-TEQ/dayが新施設0.019mg-TEQ/dayへ削減されたのに対して,周辺大気の最大環境濃度は0.48pg-TEQ/m3から0.19pg-TEQ/m3へ低減した。これに対応して,松葉中濃度も経年的に減少した。ダイオキシン類の排出量データなどをもとにした大気拡散解析の結果,排出量が多い旧施設稼動時に予測値が実測値とオーダーが一致した。新施設稼動後の予測値は実測値より数オーダー低く,本調査の設定条件の範囲においては施設の周辺環境への影響がほとんど予測されないことが示唆された。
キーワード:ごみ焼却,施設更新,ダイオキシン類,周辺環境, 大気拡散
廃棄物学会論文誌,Vol.17, No.4, pp.281-292, 2006
原稿受付 2005.12.20 原稿受理 2006.6.17
* (株)タクマ
** 京都大学大学院工学研究科都市環境工学専攻
*** 京都大学環境保全センター
連絡先:〒660-8316 兵庫県尼崎市金楽寺町2-2-33
(株)タクマ 計画本部環境技術部第一課 藤田 泰行