【研究ノート】
マイクロ波を用いたポリ塩化ビニルの脱塩化水素反応における活性化エネルギー
森 脇 三 郎*・立 本 英 機**・町 田 基**・小 倉 利 夫***・久 我 真 澄***
【要 旨】 マイクロ波(MW)照射を用いたポリ塩化ビニル(塩ビ)の脱塩素反応により,短時間の照射で,高い脱塩素効率が得られることが明らかにされている。また,MW照射効果は,MW電力が熱エネルギーに転換して得られる熱効果と,熱効果以外に,有機合成反応にMWを利用した研究において,特殊効果が出現することが明らかにされている。本報告は,塩ビの脱塩素(脱塩化水素)処理において,通常加熱法による脱塩化水素とMW照射による脱塩化水素における活性化エネルギーを比較し,MWを用いた脱塩化水素反応の活性化エネルギーが通常加熱法より低いことを明らかにし,塩ビの脱塩化水素反応におけるMWの特殊効果の可能性を示した。
キーワード:マイクロ波照射,塩ビ脱塩化水素,塩ビの熱分解,活性化エネルギー,マイクロ波特殊効果
廃棄物学会論文誌,Vol.17, No.4, pp.293-298, 2006
原稿受付 2005.10.24 原稿受理 2006.5.8
* 千葉大学自然科学研究科物質高次科学専攻
** 千葉大学工学部共生応用化学科
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千葉大学自然科学研究科物質高次科学専攻 森脇 三郎