【特 集:アスベスト廃棄物対策】

アスベスト廃棄物対策の動向について
由 田 秀 人*・秦   康 之*

【要 旨】 アスベスト廃棄物の処理については,従前より飛散性アスベスト廃棄物を特別管理産業廃棄物に位置付け,飛散防止のための規制を行ってきたところである。一方,非飛散性アスベスト廃棄物についても,今後大量に発生することが見込まれ,解体や破砕等によりアスベストが飛散するおそれがある。このため,飛散防止を図った上での埋立処分に加え,溶融等により無害化するルートを確立し,迅速かつ安全な処理を推進していくこととした。アスベストは1,500度以上の温度で無害化することが知られているが,溶融状態によってはこれよりも低い温度でも無害化できることを実証試験により確認したため,個別に無害化の判断を行う環境大臣の認定制度(無害化処理認定制度)を平成18年に廃棄物処理法改正により創設した。併せて処理基準の改正等所要の政省令を改正した。

キーワード:アスベスト廃棄物,無害化処理認定,廃棄物処理法改正,溶融,飛散防止
廃棄物学会誌,Vol.17, No.5, pp.255-262, 2006
原稿受付 2006.9.5
* 環境省 廃棄物・リサイクル対策部
連絡先:〒100-8975 東京都千代田区霞が関1-2-2
秦 康之