【特 集:アスベスト廃棄物対策】

セメント焼成を模擬した流動焼成炉でのアスベスト分解に要する温度・滞留時間探索
大和田  彰*・岩 永 朋 来*

【要 旨】 アスベスト含有建材廃棄物中のアスベストの分解条件の探索を目的として,セメントロータリーキルン内での焼成によるアスベストの非アスベスト化について検討を行った。その方法としてはサスペンションプレヒーターを模擬した流動焼成炉実験設備を使い,実機窯尻投入時にサスペンションプレヒーター内上昇気流中に一部飛散する恐れのあるアスベスト繊維を非アスベスト化できる温度と時間条件について検証した。アスベスト含有建材廃棄物粉砕品を一定の割合で炉内に投入した結果,炉内温度900℃で炉内滞留時間が約0.8秒での排ガス中のアスベスト濃度は30〜80f/L, 950℃の場合は15〜33f/Lとなり,1,000℃以上でほぼ定量下限レベルとなった。また,各種アスベスト単体を電気炉にて瞬間加熱した場合,クリソタイルは700℃から,クロシドライトおよびアモサイトは950℃から一部非アスベスト化が開始されることが確認された。

キーワード:アスベスト含有建材廃棄物,セメントロータリーキルン炉,サスペンションプレヒーター,非アスベスト化,流動焼成炉
廃棄物学会誌,Vol.17, No.5, pp.280-289, 2006
原稿受付 2006.8.25
* (株)エーアンドエーマテリアル 技術開発研究所
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岩永 朋来