【論 文】
プラスチック廃棄物から調製した炭化物の調湿特性
町 田 基*・春 原 聡**・森 脇 三 郎**・立 本 英 機*
【要 旨】 プラスチック廃棄物から調製した炭化物を調湿材として適用することを検討した。プラスチック廃棄物はPC+PETおよびPVCを用い,炭化温度500〜700℃で炭化物を調製した。比較としてプラスチック炭と同条件で調製した竹炭および市販の活性炭の調湿特性も調べた。調湿特性は本研究用に製作した測定装置を用い,湿度56%と96%において,炭化物の平衡吸湿量の差である調湿量および平衡時からの吸放湿速度である調湿速度を求めた。調湿特性は炭化温度によって変化し,PC+PETは600℃炭化物,PVCは700℃炭化物が最も優れた特性を示した。これらの調湿量は,活性炭には及ばないものの,竹炭を凌いでいた。また,これらの調湿速度は,竹炭より速く,活性炭と同等の作用をするものもあった。炭化温度によって調湿特性が変化するのは,プラスチック炭の細孔分布と灰分形態が変化したためであると考察した。
キーワード:プラスチック廃棄物,炭化,吸湿,放湿,調湿材
廃棄物学会論文誌,Vol.17, No.5, pp.322-330, 2006
原稿受付 2005.11.22 原稿受理 2006.7.5
* 千葉大学工学部共生応用化学科
** 千葉大学大学院自然科学研究科
連絡先:〒263-8522 千葉市稲毛区弥生町1-33
千葉大学工学部 立本研究室 春原 聡