【研究ノート】
溶融スラグの組織と密度の規定因子
原 雄*・堤 克 裕*・依 田 彦太郎*
【要 旨】 天然骨材の表乾密度(ないし絶乾密度)が2.5〜2.6g/cm3程度であるのに比べて,溶融スラグのそれは天然骨材のそれよりも大きい傾向を示す。その原因を探るため,溶融スラグ(水冷スラグ・空冷スラグ・結晶化スラグ24試料)の密度測定および顕微鏡観察,化学分析,X線回折分析を行った。分析結果の主なものは以下であった。
1)溶融スラグの密度を規定する第1因子はFe2O3含有量であった。2)溶融スラグの密度を規定する第2因子は,スラグ粒子中に生じた鉱物の晶出であった。3)スラグを非晶質スラグ,部分結晶化スラグ,結晶化スラグに分類することにより密度と鉱物の関係を適切に表すことができた。とくに,晶出した鉱物がGehlenite, Augite, Hematite等のように密度が大きい場合では,溶融スラグ密度を高める効果が示された。
キーワード:密度,水冷スラグ,空冷スラグ,部分結晶化スラグ,結晶化スラグ
廃棄物学会論文誌,Vol.17, No.5, pp.349-354, 2006
原稿受付 2006.1.28 原稿受理 2006.8.2
* 千葉県環境研究センター
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千葉県北総県民センター 原 雄