【研究ノート】
高炉スラグを用いたメカノケミカル法による焼却飛灰の無害化処理およびセメントとしての処理残渣の再資源化可能性評価
野 村 祐 吾*, †・藤 原 一 夫*・高 田   誠**・中 井 智 司**・細 見 正 明**

【要 旨】 最終処分場の不足により,都市ごみ焼却残渣の再資源化が急務となっている。本稿では,セメント資源としての焼却飛灰の価値に着目し,製鉄所から排出される高炉スラグを助剤としてメカノケミカル(MC)処理を行い,ダイオキシン類の分解挙動および処理後残渣のセメント化物の重金属(Pb)やアルカリ溶出特性について評価し,高炉スラグを用いた焼却飛灰の無害化処理・再資源化の可能性を検証した。
 飛灰中に含まれるダイオキシン類は初期濃度およそ9ng-TEQ/gであったが,MC処理4時間後には30pg-TEQ/g以下まで分解され,処理8時間後には検出されなくなった。未処理飛灰からのPb溶出量を基準として,MCセメント固化によるPb不溶化率はほぼ100%となり,MC効果による重金属類の溶出抑制効果の可能性が示された。MC処理後の溶出液のpHは,MCセメント固化によって8〜9に抑制されることが明らかとなり,飛灰はセメント原料として利用できることが示された。

キーワード:メカノケミカル法,高炉スラグ,ダイオキシン類,重金属類,セメント化
廃棄物学会論文誌,Vol.17, No.5, pp.355-360, 2006
原稿受付 2005.12.21  原稿受理 2006.8.8
* 東京農工大学 工学教育部
† (財)日本品質保証機構 地球環境事業部
** 東京農工大学 工学部
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(財)日本品質保証機構 地球環境事業部  野村 祐吾