【特 集:いま歴史と文化を考える―ごみ文化研究部会特集―】

戦後の廃棄物行政の変遷について
八 木 美 雄*

【要 旨】 わが国の廃棄物行政は,生活環境の保全と公衆衛生の向上を目指して「廃棄物処理法」をもとに進められてきた。しかしながら,大量生産・大量消費・大量廃棄型の経済社会活動が定着した結果,大量に発生し続ける廃棄物に係わる諸課題に抜本的に対応するためには,資源消費の抑制と環境負荷の低減が図られる循環型社会の形成が強く求められるようになり,「循環型社会形成推進基本法」が制定されるとともに,その他リサイクル関連法も制定され,廃棄物関連法の裾野は,廃棄物の発生とそれ以前の上流側から処理に至る下流側まで大きな広がりをみせてきている。さらに,3Rイニシアティブや脱温暖化に代表される国際的な多面的取組みも今後益々求められるようになってきている。このように,廃棄物行政を取り巻く状況は,複雑化・多様化の一途をたどってきている。
 そこで,今後の廃棄物行政の歩むべき方向を見出す際の基本資料を提供すべく,現在の廃棄物行政の源となった,戦後に立法化された清掃法と廃棄物処理法の制定の経緯をレビューしとりまとめたものである。

キーワード:廃棄物行政,循環型社会形成,脱温暖化,清掃法,廃棄物処理法
廃棄物学会誌,Vol.17, No.6, pp.349-359, 2006
原稿受付2006.10.19
* (財)廃棄物研究財団・常務理事
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