【論  文】

使用済み自動車用鉛バッテリーのフロー推定
平 井 康 宏*・酒 井 伸 一**

【要 旨】 自動車用鉛バッテリーのリサイクル・廃棄フローモデルを作成し,インターネットアンケート調査から退蔵バッテリー残存率関数を定め,静脈フローを推定した。補修用バッテリー販売時の廃バッテリー回収率は,ガソリンスタンド・整備業では10割に近く,カーショップで約8割,ホームセンターで約5割,平均回収率は85%で,約230万個/年が未回収と推定された。不要となった後も家庭内で保管(退蔵)されるバッテリーのストック数は約500万個,平均滞留年数は約2.2年と推定された。これらの結果と統計等を元に推定した2003年度の不要バッテリーのリサイクル率は,精錬業で原料利用した国内再生率84%,国内解体率87%(解体後に得られる巣鉛の輸出を含む),中古バッテリー輸出を含む国内回収率89%であった。残る11%は,中古車上の車載輸出(約5%),焼却・埋立,不法投棄,退蔵純増に至ると推定された。

キーワード:回収率,退蔵,鉛蓄電池,アンケート,輸出
廃棄物学会論文誌,Vol.17, No.6, pp.404-415, 2006
原稿受付 2005.10.28  原稿受理 2006.9.11
* (独)国立環境研究所 循環型社会形成推進・廃棄物研究センター
(現在 京都大学環境保全センター)
** 京都大学環境保全センター
連絡先:〒606-8501 京都市左京区吉田本町
京都大学環境保全センター  平井 康宏