【論 文】
攪拌流動層加熱処理による飛灰中Pb, Cu溶出量低下現象の解明
山 本 浩*・平 山 敦*・横 山 隆**・高 岡 昌 輝***・武 田 信 生***
【要 旨】 異なる気体−固体接触条件下にて加熱処理したガス化溶融飛灰,ストーカ炉焼却飛灰中のPb,
Cuの溶出挙動と化合物形態を調査した。飛灰中の微量元素であるPb, Cuの化合物形態解析は,放射光施設SPring-8のビームラインBL01B1にてXAFS解析を用いて実施した。その結果,空気中における攪拌流動層加熱処理では,飛灰中Pb,
Cuの溶出量が原灰より低下した。このとき,原灰中のPbは2価の酸化物,Cuは酸化物と塩化物の混合物と推定されたが,攪拌流動層加熱処理により,Pbは4価の難溶性酸化物,Cuは2価の酸化物の含有率が増加したと推定された。るつぼ加熱処理では,飛灰中Pb,
Cuの溶出量は溶出液pHが12.5〜13.0の範囲にある場合,原灰と同等以上の溶出量を示した。このときのPb,
Cu化合物形態は易溶性の塩化物と酸化物の混合物と推定された。空気中酸素と飛灰粒子の気体−固体接触性が高い攪拌流動層加熱処理においては,飛灰中Pb,
Cuの酸化状態が進行して原灰より難溶性の酸化物が生成することで,Pb, Cuの溶出量が抑制されたと推測された。
キーワード:Pb, Cu, 溶出量,化合物形態,XAFS
廃棄物学会論文誌,Vol.17, No.6, pp.416-427, 2006
原稿受付 2006.3.5 原稿受理 2006.9.14
* JFE技研(株)
** JFEエンジニアリング(株)
*** 京都大学大学院工学研究科 都市環境工学専攻
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