【論  文】

蒸煮爆砕処理による馬鈴薯からの有価物の製造
佐 伯   孝*・久 幸 晃 二**・大 門 裕 之**・藤 江 幸 一**

【要 旨】 廃棄される馬鈴薯は年間約60万ton存在していると考えられる。この馬鈴薯の有効利用の方法として,主成分である澱粉から難消化性デキストリンを合成することを検討した。本研究では,良好な加水分解反応場を提供することが可能である水熱反応場で,かつ固形物の粉砕も同時に可能である蒸煮爆砕装置を用いた。難消化性デキストリンの合成は,精製された澱粉からではなく,馬鈴薯から直接行うことを目的とし,各種反応条件を検討した。反応条件を検討した結果,反応温度220℃,反応時間10分で,馬鈴薯から難消化性デキストリンが48%の収率で合成可能であった。このことから,水熱反応を利用した蒸煮爆砕装置を用いることにより触媒などの添加剤を要することなく馬鈴薯から直接,難消化性デキストリンの合成が可能であることが明らかとなった。

キーワード:馬鈴薯,蒸煮爆砕反応,農産廃棄物,難消化性デキストリン,再資源化
廃棄物学会論文誌,Vol. 18, No.1, pp.1-7, 2007
原稿受付 2006.4.24  原稿受理 2006.10.6
*(独)国立環境研究所 循環型社会・廃棄物研究センター
** 豊橋技術科学大学工学部 エコロジー工学系
連絡先:〒305-8506 茨城県つくば市小野川16-2
(独)国立環境研究所 循環型社会・廃棄物研究センター  佐伯 孝