【論  文】

LCAによるRDF発電事業の有効性に関する評価
――石川県北部地域でのケーススタディ――
山 成 素 子*・島 田 荘 平*

【要 旨】 わが国では,一般廃棄物は焼却処理をし,発電をするなどのサーマルリサイクルが主流となっており,廃棄物発電の導入が積極的に進められているが,広域処理と高効率のエネルギー回収を目指したRDF(固形化燃料)による発電方式が一つの手段として検討されている。そこで本研究では,LCA的な観点を用いてRDF発電事業の有効性を,エネルギー消費量,環境負荷排出量(CO2, NOX, SOX),コストの面から評価した。石川県北部を対象地域とし,現在稼働中のRDF発電事業を従来焼却(焼却のみ)や広域処理(焼却・発電),分散処理(焼却・発電)と比較した結果,以下のことが明らかになった。(1)発電を伴う焼却処理方式では十分に効果がある,(2)RDFの利用により収集コストの削減が見込める,(3)RDF発電事業はCO2削減に大いに役立つ。
 したがって可燃性一般廃棄物を処理する際に,RDFの輸送性が発揮される人口密度が小さい地域はRDFを利用し,広範囲で大規模に焼却・発電を行い,発電効率を上昇させることが,最も環境負荷の少ないシステムを構築する際に効果的である。

キーワード:RDF,LCA,石川県北部,サーマルリサイクル,地域特性
廃棄物学会論文誌,Vol.18, No.1, pp.37-48, 2007
原稿受付 2005.9.1  原稿受理 2006.10.19
* 東京大学大学院 新領域創成科学研究科
連絡先:〒277-8563 千葉県柏市柏の葉5-1-5
東京大学大学院 新領域創成科学研究科  島田 荘平