【論  文】

焼却残渣中のPbの化合物形態解析
山 本   浩*・名 越 正 泰**・横 山   隆***・高 岡 昌 輝****・武 田 信 生****

【要 旨】 ストーカ式ごみ焼却炉から排出される焼却残渣に含有される微量元素Pbの化合物形態を,X線吸収微細構造法(XAFS)を用いて解析した。焼却炉底灰に含まれるPbの化合物形態は,Pb2+の酸化物形態であり,非晶質のPbSiO3を形成していると推測された。ボイラ灰はPb2+の塩化物あるいは炭酸化物と,焼却炉底灰同様に非晶質のPbSiO3との混合物と推測された。減温塔灰は非晶質のPbSiO3のみを含み,塩化物等の存在は確認されなかった。集塵灰では,同じ工場でも排出される時期が異なると,Pbが塩化物形態の場合と,非晶質のPbSiO3単独で存在することが示唆できた。

キーワード:焼却残渣,Pb,化合物形態,XAFS,複合酸化物
廃棄物学会論文誌,Vol.18, No.1, pp.67-76, 2007
原稿受付 2006.4.3  原稿受理 2006.11.13
* JFE技研(株)
** JFEスチール(株)
*** JFEエンジニアリング(株)
**** 京都大学大学院工学研究科
連絡先:〒211-0855 川崎市川崎区南渡田町1-1 JFE技研(株)  山本 浩