【特 集:廃棄物の不法投棄対策と環境再生】

廃棄物の不法投棄対策への総合的・体系的アプローチ
古 市   徹*・谷 川   昇*・石 井 一 英*・金   相 烈*

【要 旨】 循環型社会の構築において,喫緊の課題である不法投棄の解決に向けた取組の考え方,不法投棄対策の背景と課題,それに対応する北海道大学に開設された不法投棄対策工学講座の研究活動等の内容および廃棄物の不法投棄対策の基本となる循環型共生社会の最終処分システムと環境再生の考え方について紹介した。そして,不法投棄現場の問題を解決し,最終処分システムの共生化を進めるためには,調査・解析技術,修復要素技術の組み合わせ等の工学的技術の開発のみならず,社会・経済・教育・市民参加といった社会的側面をも考慮した総合的かつ体系的なアプローチを図っていく必要があること,産官学民の連携・協力が不可欠であること,その広い連携・協力の核としての役割が不法投棄対策工学講座に期待されることを示した。

キーワード:不法投棄,不法投棄対策工学講座,循環型共生社会,環境再生,最終処分システム
廃棄物学会誌,Vol.18, No.2, pp.77-83, 2007
原稿受付 2007.2.7
* 北海道大学大学院工学研究科
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北海道大学大学院工学研究科  古市 徹