【特 集:廃棄物の不法投棄対策と環境再生】

青森・岩手県境不法投棄事案に対する青森県の取組み
――汚染拡散防止対策を最優先――
鎌 田 啓 一*

【要 旨】 近年,全国各地で大規模な不法投棄事案が報道されているが,青森県と岩手県の県境を跨いで約90万m3の全国最大規模の不法投棄が平成11年度に発覚した。
 青森県では本事案発覚後,平成12年度から平成14年度の3年間,現場の状況把握のため汚染実態調査を行った。
 その結果,不法投棄現場の地形,投棄形態等から周辺生活環境への汚染拡散防止対策を最優先として行い,その後において埋積されている廃棄物の掘削を行いながら撤去・処理をすることとした。
 平成16年度から平成18年度まで,遮水壁の築造や浸出水処理施設の建設などの汚染拡散防止対策事業を行い,現在ほぼ完了したことから,平成19年度からは,不法投棄廃棄物の本格撤去・処理を始め,平成24年度までに本事業を完了させることとしている。

キーワード:汚染実態調査,産廃特措法,汚染拡散防止対策,本格撤去計画,住民対策
廃棄物学会誌,Vol.18, No.2, pp.90-96, 2007
原稿受付 2007.2.14
* 青森県環境生活部県境再生対策室
連絡先:〒030-8570 青森市長島一丁目1-1