特　集:廃棄物の不法投棄対策と環境再生】

青森・岩手県境廃棄物不法投棄事案への岩手県の取組み
――早期全量撤去による環境再生と再発防止に向けて――
滝　川　義　明*

【要　旨】　平成11年に発覚した本不法投棄事案を契機として，国においては廃棄物の不法投棄による支障除去のための特別措置法の制定，排出者責任を徹底した廃棄物処理法の改正や優良廃棄物処理業者の育成の仕組みができ，岩手県においても廃棄物対策の強化に向けた独自条例を制定するなど制度面の整備が進められた。
　一方，現場では，早期に不法投棄廃棄物を撤去し地元住民の不安を解消するため，特措法に基づく実施計画に沿って国の支援を得ながら行政代執行による廃棄物の撤去や汚染拡散防止等に努めるとともに，不法投棄の原因者はもちろん排出事業者等に対する徹底した責任追及を行うため，その委託状況調査等を行っている。
　本稿では，これらの取組みの概要，事業の進捗等について紹介する。

キーワード:産業廃棄物，不法投棄，環境再生，責任追及
廃棄物学会誌，Vol.18, No.2, pp.97-102, 2007
原稿受付 2007.1.30
* 岩手県環境生活部 産業廃棄物不法投棄緊急特別対策室 室長
連絡先:〒020-8570　岩手県盛岡市内丸10-1