【特 集:廃棄物の不法投棄対策と環境再生】

廃棄物不法投棄対策における水処理技術の現状と展望について
堀 井 安 雄*

【要 旨】 今日では,不法投棄に伴う環境影響や経済的損失は重大な問題となっている。国内には,不法投棄現場が,平成17年度末時点において2,670件であり,不法投棄残存量は,1,570万tonと膨大な量であることからして,安価で安全性の高い原状回復工法で“負の遺産をなくす”ことが社会的に要請されている。そのために,廃棄物不法投棄現場の原状回復を行った代表的な実例を2箇所紹介している。具体的には,原状回復の方法として,不法投棄廃棄物の全量撤去により環境修復した事例(サイトA)と不法投棄廃棄物エリアの周囲を鉛直遮水を施工した後,内部を原位置フラッシングと称する浄化方法でリスクを低減化させた事例(サイトB)を述べている。特に,現場での浸出水処理技術の現状と課題を述べて,今後対策される現場の水質汚濁対策や水を利用した環境修復技術の適用に貢献できればと考えている。

キーワード:不法投棄,原状回復,浸出水,処理技術,原位置フラッシング
廃棄物学会誌,Vol.18, No.2, pp.110-119, 2007
原稿受付 2007.2.16
* (株)クボタ 上下水エンジニアリング事業部
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