【論 文】
好気性消化による浄化槽汚泥の減量化に関する基礎的研究
市 成 剛*・高 橋 宏 司**・長谷川 宏 治**・手 塚 圭 治**・木 曽 祥 秋*
【要 旨】 小規模生活排水処理対策として恒久的な施設と位置付けられている浄化槽において,既設単独処理浄化槽の合併処理化や汚泥発生量の低減は重要な課題となっている。本研究では,小規模浄化槽へ適用可能な汚泥削減技術として好気性消化法に着目し,浄化槽汚泥の消化特性について回分実験を行った。その結果,SS減少率(反応時間=30日,20℃)は,夾雑物除去槽堆積汚泥で55.7%,嫌気ろ床槽堆積汚泥で25.9%となり,前者は後者に比べ約2倍分解速度が大きかった。
さらに分解速度の小さい嫌気ろ床槽堆積汚泥を対象とし,ろ過機能を組み込んだ2種類の好気性消化単位装置を用いて連続実験を行った結果,両装置ともに平均SS除去率は85%以上となり,消化槽のMLSSを約10,000mg・L-1まで高めることができた。そして,約100日間における汚泥削減率として30〜40%が得られた。
キーワード:好気性消化,浄化槽,汚泥削減,汚泥分離
廃棄物学会論文誌,Vol.18, No.2, pp.118-125, 2007
原稿受付 2006.1.31 原稿受理 2007.1.4
* 豊橋技術科学大学 エコロジー工学系
** フジクリーン工業(株) 水環境研究所
連絡先:〒441-8580 愛知県豊橋市天伯町雲雀ヶ丘1-1
豊橋技術科学大学大学院工学研究科
環境・生命工学専攻 市成 剛