【報  告】

食品廃棄物リサイクルの動向
楠 部 孝 誠*・高 月   紘*

【要 旨】 平成13年に食品リサイクル法が施行され,今年が再生利用などを義務付けた目標年度にあたることを踏まえて,食品廃棄物リサイクルの動向を検証する。
 現在,食品産業全体から排出される食品廃棄物の約50%が再生利用され,その多くが肥料・堆肥あるいは飼料へ転換されている。その反面,肥料・堆肥の利用先である農地は減少を続けているため,今後堆肥・肥料の供給過剰が予想される。
 資源循環のコンセプトはリサイクルではなく,持続可能性にあることから,食品廃棄物も再生利用の向上ばかりではなく,発生抑制を最優先に進める必要がある。そのためには,われわれの食生活やライフスタイルを見直すことが今後一層重要になる。

キーワード:食品廃棄物,リサイクル,発生抑制,生産者責任,食の安全性
廃棄物学会誌,Vol.18, No.2, pp.120-128, 2007
原稿受付 2006.10.5  原稿受理 2007.2.2
* 石川県立大学附属生物資源工学研究所
連絡先:〒921-8836 石川県石川郡野々市町末松1丁目308番地
石川県立大学附属生物資源工学研究所  楠部 孝誠