【論 文】
蒸煮−乾留炭化2段処理によるソバ殻の有効利用
小 島 康 夫*・小 原 裕美子*
【要 旨】 廃棄物として処理されているソバ殻を有効に活用するために,蒸煮−炭化の2段処理法を提案した。蒸煮はソバ殻から有用成分を熱水抽出するために行うもので,ルチンが約600mg/kgの収量で得られた。蒸煮処理後の湿潤ソバ殻は乾燥することなくそのまま炭化を行うことが可能であり,良質なソバ殻炭とソバ殻酢液を得ることができた。
ソバ殻炭は家屋調湿材や農地の土壌改良用として利用が可能であり,酢液は農業資材として木酢液と同等の性質を示した。この2段処理により,付加価値の高いルチンを得るとともに,2次廃棄物を産出することなく,残渣をすべて炭・酢液に変えることができることが示された。
キーワード:ソバ殻,ルチン,炭化,炭,酢液
廃棄物学会論文誌,Vol.18, No.2, pp.137-144, 2007
原稿受付 2006.8.9 原稿受理 2007.1.9
* 北海道大学大学院農学研究院
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北海道大学大学院農学研究院 小島 康夫