【論  文】

超高温嫌気性可溶化菌を利用したメタン発酵技術の開発
坪 田   潤*・局   俊 明**・津 野   洋***

【要 旨】 温泉汚泥を80℃で馴化することにより得た超高温嫌気性汚泥を用いて,超高温嫌気性可溶化槽と高温メタン発酵槽の二槽からなるメタン発酵装置を作製し,人口生ごみを原料として連続評価試験を行った。超高温嫌気性可溶化槽を用いた場合,高温メタン発酵槽単独での試験結果よりもメタン転換率が4.3%向上し,さらに本条件下ではメタン発酵の阻害物質であるアンモニアを容易に回収できることが示された。超高温嫌気可溶化槽および高温メタン発酵槽の可溶化酵素粗抽出液を用いて生ごみ可溶化能力を比較したところ,超高温嫌気可溶化槽の方が生ごみの可溶化能力は高かった。両槽の菌相をPCR-DGGE法で比較したところ,超高温嫌気可溶化槽からは通常の高温メタン発酵では見られない細菌の存在が確認された。

キーワード:生ごみ,超高温可溶化,二槽式メタン発酵,アンモニアストリッピング,PCR-DGGE
廃棄物学会論文誌,Vol.18, No.2, pp.145-151, 2007
原稿受付 2006.6.7  原稿受理 2007.1.11
* 大阪ガス(株) エネルギー事業部
** JFE技研(株) アクア・バイオ・ケミカル研究部
*** 京都大学大学院工学研究科 都市環境工学専攻
連絡先:〒554-0051 大阪市此花区西島5-11-61
大阪ガス(株) エネルギー事業部  坪田 潤