【論 文】
有機洗浄溶媒共存下におけるPCB蒸気の活性炭吸着特性
西 村 健 志*・高 田 誠**・小 原 敦***・細 見 正 明**
【要 旨】 PCB処理施設では,PCBの分解に先立ち,トランスやコンデンサなどの解体やPCBの抜き取り,PCBの洗浄などの工程があり,PCBの蒸気に加え洗浄に用いる有機溶媒の蒸気が発生する。発生した気体はPCB排ガスとして活性炭により吸着処理されるが,PCB-有機溶媒系の混合気体における破過曲線や吸着特性は明らかとなっていない。そこで,PCB(4-chlorobiphenyl, KC300)とデカンの混合気体を対象にラボスケール実験装置を用いて流通式の活性炭カラム吸着実験を行った。その結果,共存するデカンによるPCBの破過開始の時間,平衡吸着量への影響はなかった。この理由はデカンとPCBの置換吸着のためと考えられた。また,PCBの各異性体における吸着挙動は,異性体の蒸気圧とオルト位塩素数の二つの要因によって決定されると考えられた。
キーワード:ポリ塩化ビフェニル(PCB),活性炭,気相吸着,有機溶媒,混合気体
廃棄物学会論文誌,Vol.18, No.3, pp.167-174, 2007
原稿受付 2006.4.13 原稿受理 2007.2.21
* 東京農工大学大学院工学府 応用化学専攻
** 東京農工大学大学院工学府
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東京農工大学大学院工学府応用化学専攻 西村 健志