【論 文】
低酸素雰囲気下での溶融処理における鉛の挙動に関する実験的研究
阿 部 清 一*・上 林 史 朗*・佐 藤 淳*・吉 岡 洋 仁*・武 田 信 生**
【要 旨】 廃棄物中に含まれる鉛の溶融過程における挙動は,溶融温度および加熱時間,溶融室の雰囲気などの溶融条件や,廃棄物中灰分の主要成分であるSiO2, Al2O3, CaO, Fe2O3の含有割合などに影響を受けると考えられ,その影響度合いを実験的に検証した。雰囲気に関する実験条件として,実際の溶融運転で容易に得られる5×10-3MPa程度までの酸素分圧で行った。その結果,溶融条件に関しては高温かつ低酸素雰囲気で廃棄物からの鉛の揮散が促進され,かつスラグからの鉛溶出も少ないことがわかった。また,SiO2などの構成主成分の含有割合も鉛の挙動に影響を与えることを把握した。
キーワード:廃棄物,溶融スラグ,鉛,還元雰囲気,溶出
廃棄物学会論文誌,Vol.18, No.3, pp.175-181, 2007
原稿受付 2006.7.1 原稿受理 2007.2.23
* (株)クボタ 焼却溶融技術部
** 京都大学大学院工学研究科 都市環境工学専攻
連絡先:〒661-8567 兵庫県尼崎市浜1丁目1番1号
(株)クボタ 環境リサイクルプロジェクトチーム 阿部 清一