【論  文】

廃棄が促進される製品の排出量予測
――地上アナログ放送停波を考慮したカラーテレビ排出量予測――
山 田 宏 之*・醍 醐 市 朗*・松 野 泰 也*・足 立 芳 寛*

【要 旨】 施策等により製品の買い替えや廃棄が促進される場合,その製品の寿命分布は複雑に変化することが考えられる。そこで,寿命分布を混合分布とし,それぞれの分布が施策に対して異なる挙動を示す場合の排出量予測モデルを提案した。また,当該モデルを用いて,地上アナログ放送停波の影響を考慮した,わが国のカラーテレビの排出量予測を行った。
 停波の影響を受けない場合,停波時に47.6百万台のアナログチューナテレビが社会に残ることがわかった。停波に備えたテレビ買い替えのシナリオ解析を行った結果,アナログチューナテレビ保有者の7割が停波までその使用を継続する場合は,停波前後7ヶ月の間に34.6百万台の使用済みカラーテレビが発生し,7割の消費者が事前に買い換えた場合でも,16.5百万台が同期間に発生した。この場合の1ヶ月あたりの排出量の最大値は,現在の3倍程度となることが推計された。

キーワード:カラーテレビ,使用年数分布,混合分布,排出量予測
廃棄物学会論文誌,Vol.18, No.3, pp.194-204, 2007
原稿受付 2006.4.26  原稿受理 2007.3.1
* 東京大学大学院工学系研究科 マテリアル工学専攻
連絡先:〒113-8656 東京都文京区本郷7-3-1
東京大学大学院工学系研究科 マテリアル工学専攻  松野 泰也