【論  文】

廃木材から製造した木炭の水質浄化剤としての吸着性能
大 島 久 満*・北 村 寿 宏**・佐 藤 利 夫*・石 飛 裕 司***・長 野 和 秀****

【要 旨】 廃木材を原料として,二酸化炭素を含む雰囲気で種々の条件で炭化した比表面積の異なる木炭を用いて,水質浄化用の吸着剤としての基本性能である吸着性能を評価した。木炭のヨウ素吸着性能,MB脱色力については,木炭の比表面積と正の相関関係が認められた。木炭のABS価,フェノール価とも,木炭の比表面積の増大とともに低下し,吸着能力が増大した。木炭の吸着性能は主に木炭の比表面積で決定された。
 公園の修景池の水を用い,有機物成分や色度成分の吸着試験を行い,水質浄化の可能性を検討した。その結果,CODの低下,色度の低下において木炭は優れた効果を示し,有機物や色度成分の十分な吸着能力があることが明らかになった。
 廃木材を原料にして,炭化のみの一段階のプロセスで,吸着性能に優れた水質浄化用の木炭を製造することが可能であることが明らかになった。

キーワード:廃木材利用,木炭,比表面積,吸着性能,水質浄化
廃棄物学会論文誌,Vol.18, No.3, pp.211-217, 2007
原稿受付 2006.8.25  原稿受理 2007.3.11
* 島根大学生物資源科学部
** 島根大学産学連携センター
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島根大学産学連携センター  北村 寿宏