【特 集:廃棄物・環境と会計】

産業廃棄物処理事業の経営分析と廃棄物会計
大 仲   清*

【要 旨】 産業廃棄物を収集運搬し,リサイクルまたは処分を行うサービス業が,産業廃棄物処理事業である。その担い手には,民間企業,地方公共団体,NPO等がある。営利,非営利に係らず法人には説明責任(accountability)がある。
 この説明責任は会計データに基づいてなされなければならない。この役割を担う会計は,財務会計といわれる。従来財務会計は,貨幣評価のみであったため,マネジメントには役に立たないとされ,別途管理会計が発達した。
 しかし,近時ステークホルダーは,結果に対する説明のみでなく,そのプロセスをも開示するよう求めはじめた。その結果財務会計が管理会計の成果を取り込むことが必要となった。今,財務会計が密接な関係にあるのは環境会計と活動基準原価計算(activity based costing以下ABC)である。本稿ではABCを紹介する。ABCは単なる計算技術ではなく,業務プロセス改善にも役立つ。廃棄物会計にも有用である。

キーワード:説明責任,財務会計と管理会計,ステークホルダー,活動基準原価計算(activity based costing以下ABC),業務プロセス改善
廃棄物学会誌,Vol.18, No.4, pp.213-221, 2007
原稿受付 2007.6.18
* 公認会計士
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