【論  文】

ソイルセメント系連続地中壁の物理・力学特性と地震応答解析による耐震性能評価
日 置 和 昭*・平 田 健 正**・西 垣   誠***・江 種 伸 之**・櫛 原 信 二****

【要 旨】 本研究では,廃棄物処分場等の鉛直遮水工として適用されることが多いソイルセメント系連続地中壁の物理・力学特性に関する種々の室内試験を実施するとともに,地震応答解析によりソイルセメント系連続地中壁の耐震性能評価を行った。その結果,1)ソイルセメント連続地中壁は,兵庫県南部地震クラスの巨大地震(レベル2地震動)に遭遇すると,引張強度不足に起因してクラック等が発生し遮水機能が大幅に低下する可能性があること,2)ベントナイトの混合比率を大幅に増加させることによって,固化後でも塑性状態を維持し得るソイルセメント・ベントナイト連続地中壁の造成が可能となること,3)ソイルセメント系連続地中壁の耐震性能評価を行う場合,ソイルセメント連続地中壁では引張応力に対する安全率に,またソイルセメント・ベントナイト連続地中壁ではせん断応力に対する安全率に着目すればよいことを明らかにした。

キーワード:鉛直遮水工,ソイルセメント,連続地中壁,地震応答解析,耐震性能評価
廃棄物学会論文誌,Vol.18, No.4, pp.230-239, 2007
原稿受付 2006.7.26  原稿受理 2007.4.11
* 大阪工業大学工学部
** 和歌山大学システム工学部
*** 岡山大学環境理工学部
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大阪工業大学工学部都市デザイン工学科  日置 和昭