【論 文】
使用済自動車の不法投棄問題の実態分析
――近畿2府4県を事例に――
淺 木 洋 祐*
【要 旨】 使用済自動車の不法投棄問題の実態を把握するために,近畿2府4県の全市町村に対してアンケート調査を実施した。その結果,近畿2府4県全体で2003年度の一年間に道路上を中心に約8,600台の使用済自動車が不法投棄され,そのうちの約6,500台が自治体によって撤去されており,その大半が大阪府に集中していた。これらの結果を市町村別に検討した場合,発生台数のばらつきが大きいながらも,人口規模が多くなればなるほど発生台数が増加する傾向があり,特に大都市に集中的に発生していること,他方で,人口あたりの発生台数を検討した場合,大都市以外にも人口規模の小さい町村が高い値を示した。これらの放棄自動車が発生しやすい場所としては,人気の少ない工場周辺や高架下,幅員が広くなっている道路など,都市・農村部を問わずさまざまな場所が指摘された。さらに自治体の不法投棄対策とその困難性なども明らかとなった。
キーワード:使用済自動車,不法投棄,自治体,循環型社会
廃棄物学会論文誌,Vol.18, No.4, pp.274-285, 2007
原稿受付 2006.4.27 原稿受理 2007.5.9
* 北海道教育大学函館校 人間地域科学課程 環境科学専攻
連絡先:〒040-8567 北海道函館市八幡町1-2
北海道教育大学函館校 淺木 洋祐