【論 文】
連続式キルン型炭化装置による生活系排水処理汚泥の炭化
加 藤 裕 之*・渡 辺 孝 雄*・大 森 英 昭*・河 村 清 史**・牧 野 好 晃***
【要 旨】 生活系排水処理汚泥の土壌改良材化を目的とした乾燥汚泥の低温炭化において,炭化装置の運転特性,炭化汚泥の生成特性と成分特性を検討した。重油消費速度は,炭化汚泥生成速度が約30〜40kg/hでは最大でほぼ一定であったが,この範囲を超えると乾留ガスの生成が有効に作用し,炭化汚泥生成速度の増加に従って低減する傾向を示した。供給汚泥の減量率と分解率は,66.2〜85.4(平均値79.1)%と46.9〜76.1(65.3)%であった。炭化レベルの指標とした溶出TOC濃度は,炭化汚泥生成速度が30kg/h程度以下と40kg/h程度以上では10mg/L程度以下になったが,中間域では10mg/Lを超える場合が多く,重油消費速度の結果を考慮すると,汚泥や乾留ガスの燃焼によって供給される熱の不足が推察された。炭化汚泥中の重金属は,溶出について問題のないレベルであったが,含有量については肥料に係わる基準を超過する場合があった。汚泥中のPとKおよび大方の金属類は,炭化によって(原料汚泥の固形物重量)/(炭化汚泥の固形物重量)比に相当する濃縮がなされた。
キーワード:生活系排水処理汚泥,低温炭化,重油消費,溶出TOC,重金属
廃棄物学会論文誌,Vol.18, No.4, pp.286-296, 2007
原稿受付 2006.3.24 原稿受理 2007.5.11
* (財)日本環境整備教育センター
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