【論  文】

廃棄物系バイオマスからの非意図的水素生成ポテンシャルとその安全管理
堆   洋 平*・李   玉 友*

【要 旨】 8つの異なる植種源を用いた回分実験により様々な基質の水素生成ポテンシャルを検討した。植種源は,高温酸発酵槽,中温消化槽,高温消化槽,大豆粕,生ごみ,活性汚泥,乳牛糞および土壌から得られた。基質には,でんぷん,ペプトンおよび食用油をそれぞれ炭水化物,たんぱく質および脂質の代表として用いた。でんぷんの水素生成ポテンシャルは17.8-186mL H2/g starchと大きかったのに対して,ペプトンおよび食用油の水素生成ポテンシャルはわずかであった。でんぷんを基質とした実験系に対してPCR-DGGE法により細菌群の解析を行った結果,Clostridium属細菌やCitrobacter属細菌などの水素生成細菌が様々な廃棄物系バイオマスに広く分布していることが明らかになった。本研究から,廃棄物系バイオマスからの非意図的水素生成に対する安全管理の重要性が示唆された。

キーワード:水素生成ポテンシャル,水素生成細菌,廃棄物系バイオマス,非意図的水素生成,安全管理
廃棄物学会論文誌,Vol.18, No.5, pp.335-343, 2007
原稿受付 2006.2.9  原稿受理 2007.7.10
* 東北大学大学院工学研究科 土木工学専攻
連絡先:〒980-8579 仙台市青葉区荒巻字青葉6-6-06
東北大学大学院工学研究科 土木工学専攻  李 玉友