【論 文】
木質系生ごみ処理基材におけるpH緩衝剤の導入効果
小藤田 久 義*・菅 原 康 之*・前 田 武 己*
【要 旨】 生分解型の生ごみ処理機は,処理基材に粉砕木材(オガ粉)を用いることができるため,間伐材等の未利用木質資源の活用法の一つとしても期待されている。しかしながら,頻繁に基材の交換が必要となることや悪臭の発生等の問題があり,普及するまでには至っていない。これらの問題は,主にpHの低下によって引き起こされるものと推察されたため,あらかじめpH緩衝剤として炭酸カルシウムを基材に添加し,効果を調べた。その結果,炭酸カルシウムの処理基材への添加は,内容物のpHを4〜5ヶ月間にわたって中性付近に安定化させることにより,基材使用可能期間の長期化および低級脂肪酸発生量の低減に顕著な効果をもたらすことが示された。
キーワード:生ごみ,間伐材,pH緩衝剤,炭酸カルシウム,生ごみ処理機
廃棄物学会論文誌,Vol.18, No.5, pp.344-349, 2007
原稿受付 2006.10.25 原稿受理2007.7.10
* 岩手大学農学部
連絡先:〒020-8550 岩手県盛岡市上田3丁目18-8
岩手大学農学部共生環境課程 小藤田 久義